ねぇねぇ、聞いて。
私はキョロキョロ辺りを見回した。


「あっ!あの建物が律希の学校?」


「あぁ。うん。そうだよ。」


「意外と遠いんだねー。あっ!あれって漁船!?ここに来て結構経つのに見なかったなー。しかもあんなに大きいの!!」


興奮して喋る私を無視して、律希は隣で寝ていた。


「律希?ねぇねぇここで寝たら落ちるよ?」



そう言っても律希は全く起きない。


「ねぇねぇ、律希?聞いてるの?あっ、ねぇ!!今おっきい鳥飛んでったよ!!あれ何!?鷹?鷲!?」


私が指さしても律希は寝てる。


「ねぇねぇ!!律希!?聞いて!!」


私が怒ると律希は笑いながら起きた。


「あははは!!っ、仁華、今のめっちゃウケるわー!さっきからねぇねぇとか、聞いて!とかばっかり。本当に今日どうしたわけ?」


「だって律希聞いてくれないんだもん。別にどうしたってわけじゃないけど・・・・・・なんか、覚えておきたいの。この景色を。」

< 131 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop