ねぇねぇ、聞いて。
「よし、じゃあ行こっか。」


駅までは距離があるからお母さんに乗せてって貰う。


心なしか、ここから離れられるって思ったらスッと楽になった。


もう、あんな思いしなくていいんだ。


でも、心配なことはたくさんある。


ずっと声が出なかったら?


ずっと、誰も信じられなかったら?


人と関わる度、嘘だと思ってしまう。


今も騙されてる。


けなされてる。


馬鹿にされてる。


そう思ってしまう。


これは、直るのかな?


不安と期待を抱えて、私は知らない土地へ。


駅につくと入口でお母さんと別れた。


「ちゃんと、おばあちゃんの手伝いしてね?何かあったら連絡するのよ?」


私は頷いた。


「じゃあ、・・・・・・・行ってらっしゃい。」


私は口パクで行ってきますと言った。


キャリーバッグを持って、チケットを取って、ホームへ行く。


お昼だからまだ太陽がジリジリ照らす。


そして、新幹線が音を立てて私の前に止まる。


私は1歩踏み出して、乗った。


そして、足元にキャリーバッグを置いて席に座る。



< 15 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop