ねぇねぇ、聞いて。
お兄ちゃんは前を見ながら私に言った。


「そっか。それは、仁華にしかできないことだな。うん。・・・・・いいんじゃないか?仁華なら。」



「本当!?そっか。・・・・・良かったー。」


「俺はな、海外で日本語学校を作りたいと思ってるんだ。教師ではないけど、学校自体を作る人。まぁ、そう簡単にはいかないんだけどなー。」


初めて聞いたお兄ちゃんの夢。


やっぱりお兄ちゃんは誰かのために頑張っている人だ。


「難しいことを選ぶのがお兄ちゃんなんじゃないの?わざわざ大変なことをするのがお兄ちゃんでしょ?私はそれを誇りに思っていいと思うけど。」


サラッと言うとお兄ちゃんはびっくりした顔で私を見る。


そして次の瞬間、プッと笑った。


「さすが仁華だなー。考えることが一般的なことじゃない。・・・・・・仁華が誇りっていうなら誇りにしようかなー。」


笑ってるけど、嬉しそう。


良かった。


お兄ちゃんが戻る前にいい思い出が出来て。


「ねぇ、お兄ちゃん。」


「ん?」


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