ねぇねぇ、聞いて。
「あっ、ごめん。そんなに驚くと思わなくて。」


私は小さく首を横に振った。


「って言うかここの子じゃないよね?どこから来たの?」


なんなんだろうか?


名前も言わないで。


出来れば関わりたくない。


私はポケットからノートを取り出して書き出した。


あなたの名前は?まず、自分の名前言ってくれないと。


そう書いて見せると男の子はキョトンとした目で見てくる。


「えーーとーー、これって?」


私は続けて書いた。


私、喋れないの。理由は言わない。


「そう、か。あっ、俺の名前は律希(りつき)。苗字は嫌いだから言わないけど。」



律希。


「あっ、ちなみに高2だよ。それで、お前は?」



私は仁華。高2。



「へー。じゃあ仁華って呼ぶな。よろしく!!」


ニカッと笑った律希、君。


じゃあ私は律希って呼べばいいの?


「うん。それでいいよ。って言うか、肌白いなー。都会育ち?」


私は頷いた。


「へー。じゃあ俺が案内してやるよ。あっ、髪は金色だけど悪いヤツじゃねーよ!?」


自分で悪いヤツじゃないって言ってる人ほど怪しい。
でも、案内してくれたら嬉しい。


すると律希は嬉しそうに笑った。

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