ねぇねぇ、聞いて。
そんな人、私にいなかったし。


私はノートに続けて書いた。


私、人を信じられない。人、友達なんてすぐに裏切るでしょ?
律希の事も、完全に信じてるわけじゃない。
ごめんなさい。


律希は何も言わずに私を見てた。


そして、私の隣に座ると話し出した。


「人を信じるとか信じないとか。よく俺には分かんないけど、100%相手を信じるってことは出来ないんじゃない?誰だってそうだよ。・・・・・・・・仁華の悩みが人を信じられないことなら、俺が友達になって信じられるようにしてやるよ。」


信じられる、ように?


「うん。・・・・・・・・・仁華の声が出ないのも、何か関係してるんじゃないの?俺、仁華の声聞いてみたいし。」



初めてあったばかりなのに、そこまで感ずくの?


っていうか、声を聞いてみたいなんて、初めて言われた。


みんな声が出ないならしょうがないみたいな態度だったから。


お父さんもお母さんも。


私が1人考えていると、律希がこっちを向いた。


「・・・・・・仁華。泣いてるの?」


え?


私はそっと手を頬に当てた。


本当だ、濡れてる。


涙が出たのも知らなかった。

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