ねぇねぇ、聞いて。
「・・・・・・どうして、髪がそんなに大事なの?」


ある人が褒めてくれたの。仁華の髪は誰より綺麗だよって。それが、何より嬉しくて、それからずっと伸ばしてた。でも、突然切られて胸まであった髪は肩につくかつかないかくらい短くなった。
私はそれが凄くショックで・・・・・・・


「それで、声が出なくなった?」



うん。ダサいよね?髪ごときで声が出ないなんて。弱すぎ。


「髪、綺麗って誰に言われたの?」


・・・・・・お兄ちゃん。



「お兄ちゃん?」


うん。お兄ちゃんは今、海外に留学してるの。歳は3つ違うんだけど、私はお兄ちゃんが大好きで、いつも仲良くしてた。それで、お兄ちゃんが留学して、1度家に帰ってきた時に髪飾りを買ってきてくれたの。
それをくれた時に、仁華の髪は誰の髪より綺麗だよって、言ってくれたんだ。


「仁華は大好きなお兄ちゃんに言われたから尚更嬉しかったってことか。・・・・・・つーか、ハサミで切るとか犯罪だろ。」

< 37 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop