ねぇねぇ、聞いて。
悲しそうに笑う律希。


ふと時計を見ると5時。


「そろそろ行こっか。早めに行って、ベストポジション取っておこ!!」


急に元気になった律希だけど、どこか寂しそうな顔をしている。


でも、何でもないように振る舞うから私は笑うことしか出来ない。


無力だ。


こういう時、律希ならすかさず話を聞いてくれるのに。


私は何も出来ない。


でも、無理してまで聞きたくないし。


1人考えていると律希が私の頬を両手で挟んだ。


「大丈夫って言ったでしょ?俺のことはいいから。今日は花火を楽しも!!ね?」


私は頷いた。


そして、バックの中に財布とスマホ、扇子とポーチとノートを入れて玄関に向かう。


本当は下駄を履きたかったけど、結構歩くみたいだからヒールの低いサンダルにした。


「よしっ!じゃあ行こっか!」


私は笑顔で頷いた。


心配そうな顔をしない方がいいのかなって思ったから。

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