ねぇねぇ、聞いて。
律希に扇子を見せて渡す。


「ありがとう。でも、仁華暑くない?」


私は首を横に振った。


すると律希が私に向かって扇子を扇いだ。


「強がりはダメよ。仁華ちゃん。俺が風送ってやるよ。」


私はありがとうと口パクで伝えた。


そのまま歩いていると遠くから人の声が聞こえた。


「あっ、もう少しでつくよ。」


明かりが付いていて、賑やかな声が聞こえる。


私は嬉しくなって律希の手を引いて早歩きになる。


「そんなに急がなくても祭りは逃げないよー。大丈夫だよー、仁華ー?」


分かってるけど、お祭りとか久しぶりだからテンションが上がってきた。


会場に着くとたくさんの出店があった。


「仁華何食べる?俺はお好み焼きー!」


私はノートにかき氷!!と書いた。


「りょーかい。じゃあ先に行こ。」


そう言って私の手を引く律希。


私より背が高いからすいすい進んでいく。

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