ねぇねぇ、聞いて。
そして、花火が終わって夜空はまた寂しくなった。


「そろそろ帰ろ。遅くなるから。」


律希の言葉に頷く。



帰り道、行きと違って沈黙が続く。



なにか話そうとするけど、それは口に出す前に消えてしまう。


すると律希がため息をついた。


「だから嫌だったんだよ。・・・・・・言ったら仁華暗くなると思ったから。」


あっ、私のせいだ・・・・・・


空気が悪くなっちゃう。


私はノートを取り出して、ごめんなさいと書いた。


でも、と続けて、私は律希のこと知りたかっただけなの。でも、あんまり聞かないようにするね。急いでそう書いた。



それを読んだ律希はため息をついて、



「はぁーーーーー。情けな。仁華が謝ることじゃないよ。ただ、・・・・・・・・自分の中でも解決してなくてはっきりと言葉に出来ないだけ。ちゃんと、話すから。仁華には、話したいって思ってるから。それまで待ってくれる?」


私は勢い良く頷いた。




「ありがと。って言うか!それよりも仁華の声でしょ!?・・・・・まだ、出ない感じ?」


私は頷く。


前よりは出そうな感じがするんだけど、まだ出ない。


出ないって言うより、・・・・・声を出すことに戸惑ってる感じ。

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