ねぇねぇ、聞いて。
俺はその子が新鮮な感じがしてめっちゃテンションが上がっていたと思う。


だから、名前を教えろって言われた。


ノートに書いて見せられた時話せないんだって気づいた。


なんとなく、ほっとけなくて俺が案内してやるって言った。


その時、ふわっと風が吹いて仁華の髪が揺れた。


それを見て、綺麗だなって思った。


仁華はびっくりしてたけど。


何日が一緒にいるようになって、仁華が自分のことを話してくれた。


イジメのこと。


髪のこと。


ここに来た理由。


怖いこと。


なんでこんなに仁華が抱えてるんだよって思った。


仁華に比べたら俺の悩みなんてほんのちょっとの事なんだろうか。


俺は仁華の声を聞きたいと思った。


作戦も何も無いけど、俺が何とかしてやるみたいなことを言った。


俺が思うに、きっと仁華の中にある不安が無くなれば声は出るんじゃないかと思った。


だからたくさん楽しんで、笑顔になってもらいたかった。


お祭りに誘ったのも、浴衣を着ようと言ったのもそう。


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