ねぇねぇ、聞いて。

「俺は、金をたくさん貰うことだけが、いい事だとは思わない。誰かを楽しませたい、喜んでもらいたい。それが、俺の幸せだ。お父さんの幸せと一緒にしないで欲しい。」



「金をもらうことが悪いことなのか？安定した職について、テレビに出て、何が悪い？そんな夢捨てて、俺と同じように進め。」


律希がなんと言おうと一向に反対し続けるお父さん。


律希は悔しさで拳を強く握りしめている。


二人のやり取りを見て私も苛立ってきた。


私は律希の前に立って、お父さんの目をしっかり見た。


「親なら、子供の夢を応援するもんじゃないんですか？せっかく、夢を見つけたのに、あなたはそれを否定して自分の思いだけを押し付けるんですか？・・・・・律希はずっと、ずっと、お父さんに分かってもらいたかったのに。今、こうやって勇気を出して話しているのに、あなたは聞く耳も持たないんですか？」


「急になんなんだ。君は。関係ないだろ？」


「いえ！！関係あります！！友達として！！私は律希の事を応援したいと思っています。夢があることは凄いことです。・・・・・人は目標があると努力する。頑張れる。何かを犠牲にしてでもそれに向かって頑張る生き物です。そう、思いませんか？」