ねぇねぇ、聞いて。
「そこまで言うということは、君にも夢があるのかね?」



「あります。・・・・・私は、教師になりたいと思っています。ただの教師じゃありません。駄目なことは駄目だと、困っている人がいたら助けろと、夢を持てと、そう子供に自信を持って言える、そんな教師になりたいと思っています。」


「そんなの、綺麗・・・・・・」


「分かってます!!綺麗事。そういうんですよね?」


私はお父さんの言葉に被せた。


「最初はそういうかも知れません。でも、私の夢なんです。やりたいことなんです。お父さんの言う通り、なれるかどうか分からない。将来、思った通りの教師に慣れないかもしれない。でも!!それは、やってみなきゃ分からない!!そう、思いませんか?・・・・・全部が手探りです。でも、まだなるための努力をする前に全部を否定しないでください!否定するのは、努力してからにしてください!!」


どんどん声の音量を大きくする私に律希もお父さんもびっくりしている。


「夢を叶えられるかどうか、あなたがその目で確かめてください。律希のことも、自分の目で確かめてください。・・・・・・その夢が叶わなくて、自分と同じ道に進めば良かったんだと言いたいのなら!!それは、努力してからにしてください。やる前から応援せず、否定するのだけは、自分の思いだけをぶつけるのだけは、やめてください。お願いします。」


私がお辞儀すると、周りはシーンとしていた。


ゆっくり顔を上げると律希が私の手を軽く引いた。


「ありがと。仁華。」


私は頷いた。


すると今度は私の前に律希が立った。


「お願いします。俺は、生半可な気持ちで夢を叶えようと思っていない。だから、俺を信じてよ。」


信じて。


それは律希の心からの声。


ずっとうちに秘めていた言葉。


お父さんは俯いたまま、顔をあげない。


どうしようと思いっていたその時、顔を上げた。


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