ねぇねぇ、聞いて。
やっぱり親子だもんね。


「律希。仁華ちゃんのこと、送ってあげなさい。」


「分かってる。・・・・・・・ありがとう。お父さん。」


「あぁ。」


それだけ言ってお父さんは奥に行ってしまった。


私達は顔を見合わせて笑った。


「仁華、マジで、ありがとう。」


「ううん。こっちこそ、ありがとう。」


私がそう言うと律希が私に抱きついてきた。


私は律希の背中をぽんぽんと叩いてあげた。


律希の肩の荷が下りてよかった。


私も、嬉しい。


「じゃあ、帰ろっか。」


「うん。送る。」


帰り道、清々しい気持ちと、脱力感でいっぱいだった。


「仁華?歩くの辛い?」


「なんか、緊張してて。なかなか足が動かない。」


「俺のせいでごめん。」


「違うよ。私が、声が出たのも律希に怒鳴ったからだし。お互い様でしょ?」


私がそう言うと律希が笑った。


「あははは!本当に、仁華にはかなわないよ。思いもしないことを勝手にやっちゃうし、しかもスウェットだし。」


「仕方ないじゃん!スウェットは!!それだけ、律希の事が心配だったの。」

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