小さなポケット一杯の物語
「俺も茜さんの運命が決まってしまっているのを知って一時はあきらめたんだ。
だから、チャンスをくれた裁判官に報告に行った。
善が足りなくて願い事を叶えられる道を用意できなかったってね。
そしたら裁判官は俺に言ったんだよ。
『方法はありますよ。善が足りなければ増やせばいいんです。それでもだめなら合わせればいいんです。』
ってね。俺は頭がワリィから何言ってんだか分かんなかったんだけど、おじさんと茜さんの善を合わせれば何とかなるのかなって思って試してみた。そしたら善の数値が上がったんだよ!でもあと一つ足りないんだ。
俺は何とかならないものかと必死に調べた。娘の安依ちゃんはまだ生まれたばかりで母親の死を分かるはずもない。
もうどうする事も出来ないと思ってたんだ。
そしたら、君の善を使えばいい。とその裁判官がいうんだよ。この世界には時空が存在する。過去に戻って修業してきなさい。そうすれば、現世への入り口の扉を開く事が出来る。ってね。
俺はその修業を無事終えた。
そしたら、未来が変わってたんだ!茜さんの本当の父親が茜さんの病気を知り、願いが届いた。

茜さんの生きたいという気持ちとおじさんと茜さんのお父さんの助けたい気持ちが一つに合わさったお陰で現世への扉が開かれたんだ。
それで俺はここへやってこれた。」

< 121 / 148 >

この作品をシェア

pagetop