小さなポケット一杯の物語
「大丈夫ですよ。」

そう言って私は起き上がった。

「違うわよ。後ろ!後ろ!」

私は振り返った。そこには崩れた木材の直撃を受け、耳から血を流している茜の父親が倒れていた。

「お父さん!大丈夫ですかお父さ〜ん。」

私が動揺している中をサイレンの音が近づいてきて、やがて止まった。

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