小さなポケット一杯の物語
茜はこの時、天涯孤独になってしまったのです。
きっと、寂しかったでしょう。辛かったでしょう。
そんな時ですら、私はまだ茜を娘だと気付いてやれなかったのです。
その寂しさから救ってくれたのが、賢司くん、あなただったに違いありません。
私はテレビであなたの料理人としての活躍は拝見していましたが、この時もまだ茜の存在すら知らぬ私に、あなたが娘の夫であった事など知るよしもありませんでした。
その後、あなたには不幸な時期がありましたね。
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