小さなポケット一杯の物語
私は、その事を知って以来あなたの家を訪れては掛ける言葉もなく、そのまま帰る日々を何度も繰り返すようになりました。
それというのも、私は事業の失敗の償いに右半分をマヒしてしまっていて、茜の手術費用を用立てる事すら出来なかったからです。
そんな何も出来ない私が、どの面さげて父親であると名乗れましょう。
私はまたしても茜が必要な時に何も出来なかったのです。
そんな中で、私はあなたが多額の生命保険を掛けたのを知ってしまいました。
< 140 / 148 >

この作品をシェア

pagetop