小さなポケット一杯の物語
『ワシは、あなた達二人をずっと見てきた…。』

その年老いた神主さんはとても穏やかであったかい感じのする人だったの。
そして、その温かい眼差しはそのまま優さんへと注がれていったんだ。

『あなたは、一年もの間一日も欠かさずに、このコロに餌を持ってきては面倒をみていた。雨の日も雪の日も欠かさずになぁ。一日ぐらい自分の為だけに使いたい日もあったろうに…。たいしたものじゃ。』

神主さんの目はシワの中に隠れてしまいそうになってた。
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