小さなポケット一杯の物語
『じゃあ、これにお願いすればお兄ちゃんとまた暮らせるようになりますか?』

茜の中に隠れていた想いが言葉になって飛び出してきちゃったの。
だって、それが茜の一番の願いだったから…。
きっと、すがるような目をして言ってたと思う。
でも、そんな茜の問い掛けに神主さんは顔色を少し暗くして首を横に振ったの。

『残念じゃがその願いは叶える事はできんのじゃよ。時の進行に逆らう事は出来ん。だからお兄ちゃんを生き返らせる事は出来んのじゃ。残念じゃがのう…。
これから起こり得る未来の願い事しか叶える事はできんのじゃよ。すまんのう。』
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