小さなポケット一杯の物語
そう言って、茜に名刺をくれたの。

《創作料理 伊呂里。代表 木下賢司》

名刺の中央には、大きくそう書かれていたの。

茜はね、早速仕事が休みの日に木下さんのお店へ行ってみることにしたの。
駅を降りてずいぶんと歩いた。
まだかなぁと思いながら歩いていたら、土壁で囲まれた向こうに瓦屋根がヒョコンと顔を出している家が見えたの。

< 46 / 148 >

この作品をシェア

pagetop