小さなポケット一杯の物語
『少し落ち着いたかね。』

神主さんはね、茜の後ろから手を添えたままゆっくりと言葉をかけたの。

『私は、最後の願いはきっと叶えられてると思うのう。』

『でもぉ…。』

茜がそう言いかけると、

『実はのう。茜さん。』

神主さんはそう言って、ゆっくりと茜の横に座ったの。
『優さんはあの時竹の筒を受け取らんかったんじゃよ。』

『えっ…。』

その時茜は、どうしてって思ったの。

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