ホットケーキ!
焼きあがったホットケーキを、何もかけずに、食べる。

「何もかけないの?」

「かけない。
『ホットケーキは最初から甘いんだから、そのまま食べなさい』が、さーちんの口癖だった」

「はあ?
普通、ジャムとマーガリンか、はちみつだろ」

不満そうな由文に、

「だから太るんだよ」

澄翠は鼻で笑う。

食べていると、さやかから着信があり、出ると、

「良かった。
出てくれないと思ってた」

懐かしい、さやかの声が聞こえた。

「想い出の場所で待ってる。
もし、今日中に来てくれなかったら、澄翠の事は諦める」

それだけ言うと、さやかは電話を切った。
隣では、

「重っ!」

由文がふてぶてしい顔をしている。
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