「またね」って約束しよう
「はぁ…」
気づくと夜になっていて、雪が降っていた。
「……月が、綺麗」
冷えた手を温めるように息を吐く。
帰るところがない私は行く宛もなく、知らない道をただフラフラと歩いていた。
頭はクラクラするし、周りの音はやけに大きく聞こえる。
誰かの話し声。
車の音。
烏が羽ばたく音でさえ耳について頭に響く。
何とかしてあの女を仁から離さなきゃ…
仁の隣に立つのはいつだって私だった。
本当はあの時、本気でシンヤを殴れば簡単に腕は解けたのに…
「まだまだ甘いな…私」
彼の大切な人だと知っているから、傷つけられなかった。
こんなんだから捨てられるのかなぁ…