ねぇ、俺の声聴こえてる?
俺は開いてるだけで何も書き込んでいない真っ白なノートの端を千切って、シャーペンを持った。
そして慎重に言葉を選びながら、ノートの切れはしに文字を書いていった。
“黒瀬さんへ
昨日はビックリさせてごめんね
ただ、生徒手帳が落ちてるって伝えたかっただけなんだ
本当にごめんね
夏野”
まあ、こんな感じでいいだろ。
昨日伝えた内容だけど、多分聞こえてなかっただろうし。
手紙を4つ折りにして、昨日結局渡せなかった生徒手帳と一緒に前の席に置いた。
すると後ろから手が伸びてきたことに驚いたらしく、肩を揺らす黒瀬。
その過剰な反応が面白くて、少し笑ってしまった。
黒瀬はおどおどしながら生徒手帳と、その上に載ってる手紙を手に取った。
僅かにカサ、と音がしたから、多分手紙をみてるんだろう。
さて、どんな反応をするのかな。