ねぇ、俺の声聴こえてる?
「………」
黒瀬は手紙を見つめたまま暫く硬直して、ハッとしたように畳んで筆箱の中に入れた。
そして鞄からメモ帳らしき物を取り出して、何かを書き始めた。
返事でも書いてくれてんのかな?
律儀だねぇ。
俺は頬杖をつきながら、黒瀬の背中を見つめていた。
「はーい、じゃあプリント配るぞ〜」
数学の先生が宿題のプリントを配り始めた。
俺達の席は一番窓際だから、先生がプリントを配るのはいつも最後だ。
「……、これ、」
黒瀬から受け取ったプリントの上に、2つ折りされたピンクの可愛らしいメモが載っていた。
早速開いてみると、
”夏野くんへ
ありがとうございます
勘違いして失礼な態度をとって、すいませんでした
黒瀬”
とだけ書かれていた。
なんで敬語?
同い年なのに。
俺はすぐに返事を書いた。