ねぇ、俺の声聴こえてる?
”黒瀬さんへ
ちょっとびっくりしたけど、気にしてないよ
それと、タメ口でいいよ
同い年なんだし
夏野”
ポイッと横から切れ端を投げると、また驚いたように体が揺れていた。
返事が来ると思わなかったらしい。
またそれを開いて固まって、メモ帳から一枚取って、返事を書いてる。
また返事くれんだ。
本当に律儀だな。
その返事を受け取る前にチャイムが鳴って、授業が終わった。
ああ、終わっちゃった。
返事はまたプリントと一緒にくれるのかな?
と、思っていたら、黒瀬は立ち上がって、すれ違いざまにメモを置いて教室を出て行った。
そのメモには、
”夏野くんへ
ありがとうございます
黒瀬”
とだけ書かれていた。
……敬語のままじゃん。