ねぇ、俺の声聴こえてる?
*4*
翌日。
まるでお手本のようなノートを写させてもらって、新しいページにお礼の手紙を挟んで黒瀬に手渡した。
一応口パクでもお礼を言っておいた。
黒瀬はそれに会釈で返してくれた。
授業中、不意に黒瀬が振り向いて、俺の机にまたメモを置いた。
不思議に思って開いてみると、
”夏野くんへ
お役に立てて良かったです
黒瀬”
この子は絶対に返事を返してくれるんだな。
ただお礼を書いただけなのに、それにすら返事をくれるなんて……。
もしかして、このまま手紙を出し続けたら、仲良くなれるんじゃないか?
今は面と向かって会話できないけど、いつか出来るようになったりして。
俺は少しの期待を込めて、また返事を書いてみた。
”黒瀬さんへ
黒瀬さんのノート、凄く分かりやすかったよ
もうすぐ期末だし、
勉強、教えてもらえないかな?
夏野”
流石に図々しいか?
ノート見せてもらって、勉強教えろなんて。
そう思ったけど、断られたら素直に引こう、と思い至り、メモを投げた。