ねぇ、俺の声聴こえてる?
黒瀬は手紙を俺に渡すと、そそくさと帰って行った。
黒瀬の後ろ姿を見送ってから、渡された手紙を開いた。
”夏野くんへ
ありがとうございます
ヘッドホンつけたままで良いのなら、行きます
気を使ってもらってすみません
黒瀬”
…………ま、マジで!?
思わず手紙を見たまま立ち上がってしまった。
まだ教室に残っていた数人のクラスメイトが、何事かと俺に視線を寄越した。
「あ、あはは……、何でもないよ、ごめんね」
笑って誤魔化して、教室を後にした。