ねぇ、俺の声聴こえてる?



黒瀬は手紙を俺に渡すと、そそくさと帰って行った。


黒瀬の後ろ姿を見送ってから、渡された手紙を開いた。




”夏野くんへ

ありがとうございます

ヘッドホンつけたままで良いのなら、行きます

気を使ってもらってすみません

黒瀬”




…………ま、マジで!?


思わず手紙を見たまま立ち上がってしまった。

まだ教室に残っていた数人のクラスメイトが、何事かと俺に視線を寄越した。


「あ、あはは……、何でもないよ、ごめんね」


笑って誤魔化して、教室を後にした。










< 24 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop