ねぇ、俺の声聴こえてる?
夏休み。
待ちに待った、祭りの日だ。
今日は暑いし、あんまり汗かきたくないから涼しめの服で行こう。
と言うことで、白い袖の短いTシャツに黒いジーパンというかなりラフな格好になってしまった。
……まぁ、いいだろ。
黒瀬だって、多分こんな感じだろ。
うんうん、と1人納得して待ち合わせに遅れないように、早めに家を出た。
待ち合わせ場所に着いて、辺りを見渡す。
黒いはまだ来ていないらしい。
まだ時間まで20分近くあるもんな。
流石に早く来すぎたか。
俺は近くのベンチに腰を下ろして、黒瀬を待つことにした。
でも俺はただ居るだけで目立つ。
ベンチに座って1分しない内に女が集まってきた。
今日は祭りということもあって、浴衣を着てる子が多い。
皆可愛いな。
「ねぇねぇ、1人なの?よかったら一緒に遊ばない?」
「ごめんね、待ち合わせしてるんだ」
眉尻を下げながら笑うと、女の子は残念そうにしながらも納得して離れていった。