ねぇ、俺の声聴こえてる?
聞きたい。
めっちゃ聞きたい。
なんで声が怖いのか。
……でも、そんな立ち入った話が出来るほど、俺達はまだ仲良くない。
「……」
なんて答えるべきか分からず、目線を下げたまま黙っていると、
「……帰ります」
黒瀬が立ち上がった。
長い前髪で顔は見えないけど、声が僅かに震えていて、
泣いてる……?
咄嗟に立ち去ろうとする黒瀬の腕を掴んだ。
「待って!」
「私なんかといても、楽しくないでしょう?他の子を誘ってください!」
珍しく黒瀬は声を荒げた。
その声に、フードコートにいた人達の視線が集まった。
「……ちょっと来て」
「えっ?あの、……」
こんな人の多いところじゃ落ち着いて話せないから、場所を移すことにした。
黒瀬は動揺しながらも、俺に腕を引かれるまま、抵抗はしなかった。