ねぇ、俺の声聴こえてる?
5分ほどで頂上に着いた。
疲れて俯いている黒瀬の肩を叩いて、前を見るように促す。
「なんですか……ぅ、わあ!」
顔を上げて、目の前に広がる景色を見て、黒瀬は目を輝かせた。
ここは友達に教えてもらったデートスポット。
夜に来ると家々の明かりでとても綺麗な夜景を見ることができる。
しかも今日は祭りの後に花火がある。
ここからなら、なんの障害物もないからめちゃくちゃ綺麗に見られるらしい。
「……気に入った?」
「……っ、うん!」
顔を覗き込むと、薄暗がりでも分かるくらい、頬を赤く染めていた。
どうやら喜んでもらえたらしい。
お、そろそろだ。
__ドォ…ン!
「あっ……花火!」