ねぇ、俺の声聴こえてる?
「く、黒瀬ってさ、少女マンガとか、読む?」
「?いえ……そう言うのは全く……」
今時そんな女いる!?
じゃあ黒瀬は、恋愛の知識ほぼ0ってこと!?
「マジか……」
衝撃すぎて頭を押さえた。
ピュアすぎんだろ、天然記念物レベルだぞ。
こんなに汚れてない女初めて見た。
自分が物凄く汚物に感じる……。
「すいません……私、分からなくて……」
「いや、黒瀬はそのままでいいよ。うん」
苦笑いのまま頭を撫でると、恥ずかしそうな顔をしていた。
それから暫く他愛のない話をして、連絡先を交換してからまっすぐ家に送り届けた。
「な、夏野くんっ。今日は、本当にありがとうございました。すっごく楽しかったです」
にこっと可愛らしく笑って、深々と頭を下げる黒瀬。
マジで笑った顔可愛いんだけど……。
室内だったら完璧押し倒してるわ。
……うん、なんかもう、否定するのも疲れた。
俺、いつの間にか黒瀬のこと、好きになってたみたいだ。