ねぇ、俺の声聴こえてる?
*6*
新学期。
教室に入ると、俺の前の席には既に彼女が来ていた。
今日も今日とてヘッドホンをしている。
あの日以来連絡を取っていないから、会うのは約1ヶ月ぶり。
髪切ったんだ……。
多分そんなに切ってないと思うけど、そんなちょっとしたことにも気付いてしまう。
まぁ、毎日見てたしな。
話しかけて来る子達に笑顔で答えながら、自分の席に座る。
俺に気付いているのかいないのか、黒瀬は動じず音楽を聴きながら小説を読んでいる。
「それでねそれでね……」
「へ〜そうなんだぁ」
たいして興味が無い話を延々としてくる女の子に適当に相槌を打つ。
早く終わんねぇかな……。
俺は黒瀬に手紙を書きたいんだけど……。