ねぇ、俺の声聴こえてる?
「大翔(ひろと)〜!遊びにいこ〜」
「いいよ〜。何処行く?」
1年の時同じクラスだったリコちゃんとまゆちゃんが、HRが終わってすぐに俺のクラスに入ってきた。
2人とはよく遊びに行く。
他の子とも遊ぶけど、この2人は誘ってくるのが早いし、女子の中では結構力を持ってるみたいだから、誰も2人がいる時に俺を誘わないのだ。
「今日はカラオケな気分なんだぁ」
「いいじゃん、カラオケ行こうよ!」
2人の言葉に笑顔で頷く。
不意に前の席に目をやると、黒瀬は2人の煩い声などまるで耳には入っていないようで、自分のペースで帰り支度をしている。
「ねぇねぇ、早く行こっ」
「わかったわかった。行くよ」
リコちゃんがグイグイ腕を引くので、鞄を肩にかけて、本日の黒瀬の観察は終わった。