ねぇ、俺の声聴こえてる?



次の日。


正直学校には行きたくなかったけど、家にいるのはもっと嫌だったから。


重い足を引きずって、吐き気に耐えながら家を出た。



どうせ昨日のことで悪口を言われようと、ヘッドホンをしてさえいれば聴こえないのだから。



そう、自分に言い聞かせて。











授業中、突然後ろから手が伸びてきて、驚いて肩が跳ねた。


手が置かれた場所には、私の生徒手帳と折り畳まれた紙が置いてあった。


生徒手帳……いつの間に落としたんだろう。


上に載っていた紙を開くと、そこにはノートの一行から少しはみ出すくらい大きくて、でも綺麗な文字で言葉が綴られていた。



ご……“ごめんね“?

謝られたのなんて初めてだ。

いつもは私が謝るばかりなのに。


わざわざ生徒手帳を渡そうとしてくれていたのに、とても失礼な態度をとってしまった気がする。


私も謝らなきゃ。


そう思って私もメモに謝罪を綴って、プリントと共に手渡した。









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