ねぇ、俺の声聴こえてる?



それから彼、夏野くんとは少しだけ仲良くなって、夏休みに夏祭りに誘われるまでになった。


私なんかに気を使ってくれて、ヘッドホンをしたままでいいって言ってくれたから、

お言葉に甘えてお祭りに行くことにした。



お祭りどころか誰かとお出掛けなんて初めてでどうしていいか分からなかったけど、お祭りって言えば浴衣だよね?


そう思って浴衣を着ていけば、夏野くんは可愛いと言ってくれた。



一緒に花火を見れて、本当に嬉しかった。

今まで生きてきたなかで、一番楽しかった。


帰りに連絡先も交換して、私の電話帳に初めて伯母さんと伯父さん以外の名前が追加された。


帰ったのが9時を回っていたから当然伯母さんには怒られたけど、気にならないくらい気持ちは舞い上がっていた。



















だから、バチが当たったんだろうか。

























朝、教室に向かおうとしたら、後ろからヘッドホンを取り上げられた。


「貴女が、黒瀬 妃菜?」


振り返ると、綺麗な黒い短髪の女の子が冷たい目で私を見下ろしていた。











< 52 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop