ねぇ、俺の声聴こえてる?
*第2章*
*8*
朝、今日はちゃんといつもみたいに黒瀬が座ってて、ほっと胸を撫で下ろした。
肩を指でつつくと、黒瀬は体をビクッと跳ねさせて勢いよく振り向いた。
その顔は強張っていたけど、俺だと分かった途端に解れた。
「お、は、よ」
笑って口パクで挨拶すると、黒瀬も笑って返してくれた。
だいぶ俺に慣れてくれたみたいだ。
体に触っても特に抵抗もされないし、笑顔も見せてくれるようになったし。
よっしゃ!
席について心の中でガッツポーズした。
多分黒髪の中で俺はただの友達なんだろうけど、今はそれでもいい。
この調子で少しずつでも意識してくれたら。
……出来れば2年に上がるまでには。