魔王木村と勇者石川


そんななか、迷が真っ先に我に返って、鎌田くんに本来の目的を告げた。

 
 「あ、鎌田くん。じゃなくて王様。魔王の用件聞いてあげてください。」
 
 「うむ、聞こう。」
 
 「あ、なんか、ありがとうございます?」

 
 聞く体勢に入り、木村くんのほうを見た鎌田国王に、なんとなく礼をする木村くん。

 
 「お前はなんで疑問形なんだよ」
 

ほんとだよ。

しかも王どうしなんだからそこまでかしこまらなくてもいいのに。
 

 「いや、なんとなく。」
 
 「そうか……」
 

 困ったように言った木村くんに、石川はちょっと遠い目をした。
 

< 101 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop