魔王木村と勇者石川
そんななか、迷が真っ先に我に返って、鎌田くんに本来の目的を告げた。
「あ、鎌田くん。じゃなくて王様。魔王の用件聞いてあげてください。」
「うむ、聞こう。」
「あ、なんか、ありがとうございます?」
聞く体勢に入り、木村くんのほうを見た鎌田国王に、なんとなく礼をする木村くん。
「お前はなんで疑問形なんだよ」
ほんとだよ。
しかも王どうしなんだからそこまでかしこまらなくてもいいのに。
「いや、なんとなく。」
「そうか……」
困ったように言った木村くんに、石川はちょっと遠い目をした。