魔王木村と勇者石川
「私も、たぶん蛍もね、気づいて欲しいなんて思ってなかったし。」
「え、じゃあ、なんで突然教える気になったんですか?」
「ん? そりゃ、誉ちゃんに同期の仲間が出来たからに決まってるじゃない。」
「それはどういう……?」
どうやらよく分からなかった様子の誉。
頭の周りにクエスチョンマークが大量発生している。
「ん~、私と蛍は、同期で、仲良くて、支え合えたけど、誉ちゃんには、今までそういう存在がいなかったでしょう? だから、私が支える役割も、一緒に担えたらいいなって思ってたの」
「はぁ…」
「でも、そういう存在ができたなら、もうその理由を話しても問題ないかなって思ったんだ~。」
それはもう私の役割じゃなくなっちゃったからね。
そう付け足して笑った。
「師匠……」