魔王木村と勇者石川
りりりーと、笑う蛍。
これには見習い二人は同じく苦笑いでした。
そんなこんなで、今日最後の作戦が始まった。
男子たちが話に夢中になって、こっちを見てないのを確認して、蛍と迷は顔を見合せ頷いた。
「よし、今だ」
「それぞれ透明になってー」
これは魔女の基礎的な魔法の一つなので、四人はすぐ透明になった。
「じゃあ、作戦開始ー」
のんびりした迷の声で魔女四人は男子たちのテーブルに近づいた。
抜き足、差し足、忍び足。
標的は木村くんと石川くんの足元にある二つのリュック。
イチゴミルクと、微糖のコーヒー、そしてお茶が入ったあのリュックである。
近づくにつれて何を話しているか、段々分かってくる。それぞれの趣味の話らしい。
しかし、まさにそれぞれの見習いにリュックの方を見てないか見張らせて、迷と蛍がそれに手をかけた時である。
「あれ?」
木村くんが小首を傾げる。
可愛い。