魔王木村と勇者石川




りりりーと、笑う蛍。


これには見習い二人は同じく苦笑いでした。



そんなこんなで、今日最後の作戦が始まった。

男子たちが話に夢中になって、こっちを見てないのを確認して、蛍と迷は顔を見合せ頷いた。


「よし、今だ」

「それぞれ透明になってー」


これは魔女の基礎的な魔法の一つなので、四人はすぐ透明になった。


「じゃあ、作戦開始ー」


のんびりした迷の声で魔女四人は男子たちのテーブルに近づいた。


抜き足、差し足、忍び足。


標的は木村くんと石川くんの足元にある二つのリュック。


イチゴミルクと、微糖のコーヒー、そしてお茶が入ったあのリュックである。


近づくにつれて何を話しているか、段々分かってくる。それぞれの趣味の話らしい。


しかし、まさにそれぞれの見習いにリュックの方を見てないか見張らせて、迷と蛍がそれに手をかけた時である。


「あれ?」


木村くんが小首を傾げる。


可愛い。


< 116 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop