魔王木村と勇者石川
勇者、魔王領を目指す
三日後、人間の国の王都では、勇者出発の盛大なパレードが開かれていた。
民衆は喜んで手を振ったり声を上げたりしている。
石川くんは、それにいつもの表情で応えている。
手を上げたりはしているので、頑張っているのだと思う。
それにしても……
「よく三日で準備できたね〜」
そう、準備期間はたったの三日。
本来、パレードとは、かなりの時間をかけて準備するものなのだ。
それに対して、王様はひと言。
「頑張ってみた。」
「さすが鎌田くんだね〜」
鎌田くんは学生時代から優秀だった。
寡黙で真面目に熱心に仕事をする人間なので、誤解されたりするが、遊び心もちゃんとある。
そんなわけで、三日で盛大なパレードを準備しちゃったりもする。
そして、鎌田くんは王様としてひどく慕われているので、関連業者の皆様も、快く協力してくれる。
だからこんな早業ができてしまうのだ。