魔王木村と勇者石川
「あいつら、巻き込まれて……」
「連絡して、城内全域に警戒体制を敷こう」
「ああ、頼む」
「なんで、リュックなんて盗んだんだろ?」
「知るか、あほう」
「あ、………なんか、ごめん」
「あーー、もう。くそっ」
「ごめ……」
「お前はな」
勇者が魔王の頭をぐしゃぐしゃする。
「うん?」
「俺は怒ってるわけじゃないんだよ。分かれ」
「うん?」
人の王はそんな二人の様子に、これが彼女たちの萌えなのかと、静かに何か悟ったのであった。