魔王木村と勇者石川
「って、ヤバくない?」
水晶玉で大広間の様子を確認して、魔女四人は焦った。
あとで男の子三人が何を話していたのか知るつもりで、テーブルに添えられた花に、マジックカメラを当然のように蛍と迷は仕掛けていたのである。
そして、思わぬところで役立ってしまった。
「話が大事になってますね………」
「私たち犯罪者になってしまうんでしょうか?」
後輩魔女二人はそう焦るが、迷と蛍は違う意味で焦っていた。
「今、城内を警戒体制なんかにしたらさ__」
「うん。何も知らない噂好きの使用人が勝手に解釈して、魔王と人間が決裂して、争いになる寸前だったとか、そんな噂が立つかもしれないねー」
「「そんな………」」
事の大きさに気づいた後輩二人が言葉を失う。
「まっ大丈夫だって。大事になる前に急ごう」
「近衛さん、服ありがとう。あとこのリュックあげる。犯人は捕まえたことにしといてー」
「えっ!」
「「じゃーねー」」
そう言って蛍と迷の魔法で、魔女四人は大広間前へとワープした。