魔王木村と勇者石川
「俺は警戒体制を解くように連絡する」
「ああ」
「なんか、俺たちを出し抜いたわりに弱いね」
「だな」
犯人捕まったのになぜか落ち込む二人。
真相を知る魔女たちは申し訳なくなった。
「まっまあ、犯人探しも終わったみたいですし、わたくしたちが用意したものをお飲みくださいさい?」
「あっ、まだ続けるの?」
「みたいだな」
「なっ、なんのことかなかなー?」
明後日の方向を見ながらとぼける蛍である。
「はあ………まあ、付き合ってやらんでもないが。でも、俺は酒は飲まんぞ」
「いえ、お酒など用意しませーん」
「いや、お前らさっき酒屋と名のっただろうが」
えへへ。
白山さんがこっち側だから、石川くんが突っ込んでくれます。
嬉しいかぎりですね。
「まあ、おいしさはわたくしたちが保証しますわ~。ホー?」
「はい、奥様」
「あれをお出しして~」
ホーと呼ばれた荷物持ちの少年風の誉ちゃんが、保冷用トランクケースから、飲み物を取り出す。
「いや、全部缶じゃねーか」
思わずといった様子で石川くんの鋭いツッコミが入る。