魔王木村と勇者石川
「は?お前らが俺に選べって言ったよな」
「いえ、お茶はもうないんですよよよ」
「は?じゃあ、そのお茶の缶はなんなんだよ?」
「えっと…」
「毒です。」
思わず口ごもった蛍に、間髪いれずに白山さんのフォローが入った。
静かに、しかしハッキリと言い切る白山さん。ナイス!
冷静な表情には説得力があるぜ!
「………とんでもない、酒屋だな」
「……そんなわけなので、石川さまが木村さまに選べるのは、こちらのイチゴミルクか、こちらのイチゴミルクか、こっちのイチゴミルクになりますすすすー!」
「全部、同じイチゴミルクじゃねーか」
「さあ、お選びを!」
「無視かよ。じゃあ、…真ん中?」
「ホー、石川さまに真ん中のイチゴミルクを差し上げて~」
「はい。奥様」
少年誉ちゃんはトランクを置き、膝を折って石川くんにイチゴミルクを献上する。
「いや、木村こっちだし」
「いえ、石川さまがお受け取りを」
「なんなんだよ。ったく、はい木村」
「ん、ありがとう」
石川くんが木村くんのグラスにイチゴミルクを注ぐ。
仮面夫婦はそれを嬉々として見守った。マジックカメラもこっそり用意した。
「じゃあ、いただきます」
そう言って、いよいよ木村くんはそれにくちづける。
そして、その瞬間は訪れた。