魔王木村と勇者石川
「では、今後とも仮面夫婦が営む酒屋文学少女をどうぞご贔屓に」
そう言って良い雰囲気の二人を前に、なに食わぬ顔でいなくなり、服などの証拠を隠滅したあと、魔女四人は大広間に戻った。
戸を開けてただいまとそれぞれ言うと、
「お帰り」
木村くんが微笑んで、
「遅かったな」
石川くんが口の端を少しだけつり上げる。
「おつかれ」
そして、鎌田くんはやさしく労ってくれる。
この場所が愛しい。
心からそう思った。