魔王木村と勇者石川



いつものように魔王城の王座で本を読む冬城がいて、弦野が魔王の食べ終わった夕食の皿をワゴンに乗せ、早本は王の間の開いていた窓を閉めようとしていた、


その時___


 
「あ、明日俺、蛍さんたちと人間の国に行ってくるから。みんなも明日は仕事お休みしていいよ」


何の前触れもなく、いつものようにフキフキしていた魔王がそう言って、言われた男子三人は考えた。


そして、変換した。

魔王がその間に何事もなかったように部屋を出ていこうとするもんだから、


“ちょっと雑巾洗いに行ってくるから、休憩してて”

に、変換されたのだ。



そして、それぞれ魔王木村が言ったことを復唱する。



「雑巾っすね。了解っす」


「うん?」


「少し休憩ですか」


「うん???」


「疲れたな、冬城、弦野」



その場にいた使用人筆頭冬城、料理長弦野、近衛隊長賢志が互いに今日の仕事を労い出したので、魔王は眉間にシワをよせる。



「あのー、分かってる?」



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