魔王木村と勇者石川
「えっ、休憩っすよね?」
クリクリした目で冬城がそう言うと、ますます混乱する魔王。
「休憩っていうか……休日?」
「今日の仕事はもう終わりってことですか?」
「んー、まあそれはそうなんだけど………」
「終わりですかっ!やった!冬城、今日の夜も遊びに来るだろ?」
「ん、行く行くー」
「あっじゃあ、俺も」
若い男子勢に負ける魔王は、しばらくその様子を眺めて、
「あのー、もう一回言うけど」
今度は前置きしてから、先ほどの台詞を繰り返す。
「明日俺、蛍さんたちと人間の国に行ってくるから。みんなも明日は仕事お休みしていいよ」
一生懸命に可愛い身振り手振りを入れる魔王。
その姿が、勿論蛍のマジックカメラにきっちり撮られていたいたのは、まあ言うまでもないか。
美味しくいただきました(キラーん)
話を戻して、この突然の宣言に一番に反応したのは勿論のこと冬城だった。
「人間の国っすか!」
「うん」
「それ、俺も行きたいっす!」
「えー」
普段は何に対しても寛大な魔王だが、今回ばかりはなぜか渋る魔王。
だが、冬城は諦めずに更に詰め寄った。
「お願いします!人間の国で欲しいものがあるんです!」
「それはなんだい?」
「ケータイ!」