魔王木村と勇者石川
「魔王城で流行語大賞やったら、『なんかごめん』は絶対ノミネートされる………」
「蛍さん、きこえて___」
「うーん、こっちの人間の城だったらー」
「うひょーーー、聞きたいたいたいっ!」
「あのっ」
「まずはねーー」
「…………」
妄想が暴走して周りの見えなくなった魔女が盛り上がる中、魔王と勇者は顔を見合わせた。
「木村、諦めろ」
「ん」
魔王と勇者でも、こうなった魔女は止められない。
「そういえば、石川。なんでそこにいるの?」
「「あっ」」
………止められない、わけでもないらしい。
聞き耳をたてる魔女たちを今さら気にする風もなく、
「あー、鎌田王がお前と話したいことがあるんだと」
「そうなの?」
「ああ。正式な手紙出すよりここに来た方が早いと思って、ここに来たが、想像よりもずっと早かったな」
ずっとを強調して仰る石川くん。
………少しこちらを見たのはサービスショットでしょう。
きっと!たぶん!不機嫌そうな顔のサービス!
優しいから。うん。
「実は」
再び木村くんを見た石川くんが鎌田王の伝言を伝える。
魔女二人は顔を見合わせた。何やら面白いことが始まりそうである。