魔王木村と勇者石川
数日後。
「いやー、実に学校日和ですよねー」
鎌田王に仕える文官の誉が、中庭で両手を広げた。大きく息を吸って吐く。
「って、ことで鎌田王!」
「えっ、はい」
「是非とも、着てほしいものがございまして」
「うむ」
「どうぞ!」
「うむ」
何が『って、ことで』なのか分からないが、誉を信用している鎌田王は、それを何の疑いもなく受け取った。
しかし、
「むむむむむっ」
鎌田王は裏切りにあう。
「まさかっ」
「まさかでーす」
誉、お前もか。
なんて、名言を残すのは鎌田王ではなかったらしく、
「迷は?」
「当然もう用意して待ってますよー」
このちょっとしたイタズラの真犯人が待っているようだ。
この日、新聞の一面を飾る内容になるはずだったことは、魔女二人の画策により新聞の全面を占拠することとなる。
今はまだ誰も知らない。